Switch版『吉原彼岸花 久遠の契り』ネタバレなし感想・レビュー

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本日は、【吉原彼岸花 久遠の契りよしわらひがんばな くおんのちぎり)のネタバレ無しの感想・レビューを書かせていただきます。

ネタバレしないよう配慮しておりますが、感想を書くにあたり最低限の情報は載せています。
そのため、すべての方に「ネタバレ無し」と感じていただける内容ではないかもしれません。
その点をご理解いただいた上でお読みいただけますと幸いです。

目次(クリックできます)

『吉原彼岸花 久遠の契り』のあらすじ

時は江戸。
絢爛豪華な町の裏側で、欲望が渦巻く新吉原。

老舗遊郭「桜華屋」で、最高位の花魁を務める主人公・千早。
祖国に暮らす両親の元へ帰るため、朝な夕な、誰とも知らぬ男の伽の相手をする。

普段と変わらない日常。
吉原という小さな世界だが、千早にとっては自分を証明できる大切な場所。
楼主の時雨、禿の柚、共に働く心強い遊女たち……かけがえのない存在に囲まれ、苦界と言われども花魁の仕事に誇りを持っていた。

本当の恋を知るまでは──。
抗えない運命にのまれていく、一人の遊女の激動の物語。

引用:公式サイト

おすすめポイント

  • 吉原の花魁として前向きに生きている主人公
  • 恋愛をする上で障害が多いが、その分、想いが通じた時の感動が大きい
  • 胸が締め付けられるように切なくなる
  • 悲恋のストーリーも美しくて魅力的
泣ける作品でした♡

全体感想

主人公は吉原の花魁

吉原を舞台にした物語で、主人公の凜ちゃんは老舗遊郭「桜華屋」の最高位の花魁である「お職」を務める遊女。
凜ちゃんは年季が明けるまで、好きでもない男性にその身を任せなければいけない境遇ではあるものの、お店に愛着を持っており、毎日を前向きに懸命に生きている女の子です。

辛い境遇には置かれているものの、そんな暮らしの中にも、ほっとできる時間や、人の温かさを感じる交流があります。
朋輩の喜蝶さんや、凜ちゃんの妹分の柚ちゃんをはじめ、心から凜ちゃんのことを大切に思ってくれてる人もいて、その優しさや気遣いにグッときます!

恋愛においては辛い展開が多いのですが、恋愛とは関係ないところで心温まるシーンも描かれているので、バランスが良いなと感じました。

そのためか、悲惨なバッドエンドが多いにもかかわらず、この作品は暗いイメージがないんです。

遊女であるがために恋愛には障害が多い

凜ちゃんは遊女なので、作中ではその存在を軽んじるような発言をする人物も登場するのですが、攻略キャラたちはそうではなくて。
遊女だからと先入観を持たずに、ちゃんと1人の女性として、その人間性を見てくれている感じ。

多くのお客さんに性の捌け口としてしか見られてこなかった凜ちゃんにとって、そんな風に思ってくれる男性に惹かれるのは自然なことだと思いました。

それでも、遊女という自由に恋愛できない立場なので、両思いになっても周囲には秘密にしなければならなかったり、会いたいのに会えなかったり、思わぬ障害が立ちはだかったりします。

凜ちゃんが吉原から出て相手の男性と幸せになるには、「年季が明けるのを待つ」、「逃げる」、「身請けしてもらう」のどれかなんですよね。

年季が明けるのはどれだけ先なの?って感じですし。
逃げたら、死ぬよりも酷い目に遭わされるという…。
身請けは、相手の男性がかなりの財力を持っていないと無理だし、もし身請けされても、身分が釣り合わなくて辛い立場に置かれてしまうかもしれない。

前途多難な恋愛ストーリーで、ハピエンにたどり着くのは奇跡のようなことなんですよね。

ハピエンではそんな奇跡が起こるからこそ、感動のあまり涙が出てしまいました。

悲恋のストーリーも魅力的

私はこれまでバドエンよりも断然ハピエンが好きな方だったのですが、この作品のバドエンには心惹かれるものがありました。
すごく切なくて、美しい悲恋のストーリーを堪能させていただきました♡

一方で、心が痛くなるような辛いバドエンもありました。

各攻略キャラに名シーンがある

凜ちゃんは吉原の遊女ということで、「籠の鳥」のような境遇なのですが、一方の男性キャラの方も様々な事情を抱えていたりして…。

そんな中でも、男性キャラは自分ができる最大限の努力をして凛ちゃんを幸せにしようとしますし、凛ちゃんの方も相手のことを大切に思うがあまりに時には辛い選択をしたりします。

男性キャラごとに愛し方が違っていて、それがどれもすごく印象的で心に刺さるんです。
どのキャラのルートでも、どの結末でも、心がそわそわして胸が締め付けられるように切なくなる、そんな作品でした。

表のメイン攻略キャラと裏メイン攻略キャラがいる?

ストーリーを進めると、植物が関係する思い出が出てくるのですが、タイトルにある『彼岸花』は、私がメインだと思っていたキャラのルートでは出てこなくて「あれ?」と思っていました。

そうしたら、別の攻略キャラのルートで出てきて、「ハッ! 真打はこちらだったか?!」となりました。
この2人の攻略キャラが関わるストーリーについては、特に内容が濃かった気がします。

色っぽい展開あり・糖度高め

大人向け作品の移植ということで、PC版に含まれていた大人ないちゃいちゃシーンはもちろんカット(フェードアウト?)。
ですが、その分、男性キャラが凜ちゃんのことを想う気持ちがよく表れているシーンなどが追加されていたので、物足りないとか違和感は全く無かったです!

いちゃいちゃシーンの色っぽさは、移植版として許される限界まで表現されていると感じました。
追加されたシーンにより甘い気持ちにさせてもらえたり、男性キャラの想いの深さに感動したり、とても楽しめる内容でした♡

主人公(本名:凛、源氏名:千早)

老舗遊郭「桜華屋」の最高位の花魁である「お職」を務める遊女。
故郷の両親のもとへ帰ることを夢見て、お職として仕事への誇りや強い責任感を持って働いています。

幼い頃から桜華屋の楼主である時雨に直々に芸事などの指導を受けてきたこともあり、凜ちゃんは恋を知るまでは「優等生の遊女」といった感じでした。
どの客にも満足して帰ってもらえるよう、しっかりとおもてなしをし、また、時には店や同僚のことを思って機転を利かせたりすることも。

凜ちゃんは仕事の一環としてお客さん相手に演技もしますが、狡猾になりきれていなくて、純粋で不器用だなぁと感じる場面もありました。

初めて恋を知った凛ちゃんが幸せになるストーリーもあれば、恋を知らなかった方が幸せだったのではないかと思われる悲惨なストーリーもありました。

キャラ別感想

神楽屋 彰人  CV:竹内 良太さん

札差(金貸し)を仕事としている、桜華屋の常連。

神楽屋さんは最初のうちの印象が悪かったので、あとは上がるだけでした!
プレイ開始直後は「好きになれなそうだけど、どうしよう?」と思っていましたが、ドラマチックな展開に引き込まれました♪

神楽屋さんは、裕福な自分にすり寄ってくる人間を軽蔑しつつも、何でもお金で解決しようとするところがあり、いつもどこか満たされない冷めた目をしています。

神楽屋さんと凜ちゃんは、ぶつかってケンカしつつ仲を深める感じでした。
意地の張り合いをしつつも、なぜかお互いのことが気になってしまう2人。

神楽屋さんは凜ちゃんの負けん気の強さが好きなのですが、凜ちゃんが素直になると、どうしていいか分からなくて照れたりします。
凜ちゃんに喜んでもらおうと不器用ながらも頑張るところには、可愛さを感じられて好きでした♪
ちゃんと優しさを持っているんですが、分かりづらい人でした。

神楽屋さんは、女性経験が豊富なので、自信と余裕があるような感じでしたが、途中から凜ちゃんに溺れて夢中になっちゃうところが良かったです♡

大月 忍  CV:間島 淳司さん

昼間から吉原に入り浸っている武士。

忍さんは、通うお店をコロコロ変えること、遊女と床入りする前に泥酔してしまうことで有名なお客さん。
軽い感じで色んな女性に声をかけるので、最初は凜ちゃんのことも、そんな大勢の中の一人なのかな、という感じでした。

忍さんは武士ということで武芸に秀でているものの、小さな生き物の命も大切にできる心優しい人。
普段はへらーっとした笑顔で明るく話すのですが、真剣な表情や口調になった時とのギャップがイイ!
それに、可愛いところもあって、心をくすぐられました♪

ハピエンでは感動して泣きました!
一方、バドエンは凜ちゃんの心の闇が描かれていて、怖さがじわじわと迫ってきて、とても印象に残りました。

恋をすると周りが見えなくなりがちだけど、一時の感情に流されると、長い目で見た時に幸せになれないという、教訓のようなバッドだったなぁ…。

朔夜  CV:水島 大宙さん

「桜華屋」 に雇われて、毎日凛ちゃんをはじめ遊女達の髪を結うために通ってくる髪結い。
髪結いの腕が確かで、遊女達からの信頼も厚い朔夜。

最初は無愛想で素っ気ないんですが、凛ちゃんが朔夜に文字を教えたりするなどの交流を通じて親しくなっていきます。
凜ちゃんは初恋に戸惑いつつも、花魁としてのプライドや責任感もあって、なんとか自分の本当の気持ちを隠そうとするのですが、一方の朔夜は、凜ちゃんのことを好きな気持ちを押さえきれなかったりして、真っ直ぐに熱い想いをぶつけてきます。

朔夜は凛ちゃんよりも1つ年下なのですが、凜ちゃんにとって自分が頼りない存在でいることを良しとしません
向上心を持ってて、可愛いけど可愛すぎないんです♪

久々に私の好きなタイプの年下キャラでした♡
この作品の推しキャラです!

朔夜は女性経験がないため、最初は凜ちゃんが主導権を握っているような印象なのですが、もともと物覚えが良いので、みるみるうちに成長して…こういう展開、大好物です♡

凛ちゃんは遊女なので世間的には良い印象を持たれないと思うのですが、朔夜は客の男に嫉妬したり、身体を売らなければいけない凛ちゃんの現状にやるせない気持ちにはなるものの、蔑むような気持ちは全く持っていないんですよね。
むしろ、教養があり、文字を教えてくれた凛ちゃんを尊敬しているような部分もあって、朔夜のそういうところが大好きでした♪

ハピエンは2人にとって奇跡みたいな展開で、幸せそうな2人の姿に胸に込み上げてくるものがありました!

伊勢屋 惣一郎  CV:中澤 まさともさん

廻船問屋の若き主。
優しくて経済力もあって、序盤からあまりにも完璧なイイ男すぎて、「さっさと身請けしてもらって幸せになって!」って感じだったんですが、そこからのドラマチックな展開にドキドキさせられました!

伊勢屋さん、優しいだけの人じゃないんです!
秘めていたものが表に出た時の伊勢屋さんも好きでした♡
「ここまで人生をかけて愛してもらえたら、彼を選ぶ以外ないでしょう?!」って感じです。
逆に選ばれなかったら辛すぎる…。

凜ちゃんは春を売って生きてきた自分は汚れていて、伊勢屋さんには相応しくないと思って、一緒にいたい気持ちはあるけれども、素直にその胸に飛び込めないんですよね。

「軽蔑されたくない、嫌われたくない」という思いと、「自分はこんなに汚れているって知ってほしい」という思い、その両極端とも思える感情の間で葛藤する凜ちゃんにすごく感情移入できました。

個人的には乙女ゲームのバドエンよりハピエンの方に魅力を感じてしまうことが多いのですが、伊勢屋さんのバドエンは、美しくて後味の悪くない悲恋ストーリーだったので、珍しく私好みのバドエンでした♪

桜華屋 時雨  CV:森川 智之さん

老舗遊郭「桜華屋」の楼主。
時雨様は幼い凜ちゃんを将来のお職の花魁とするため、自らが芸事を教えて育て上げたという経緯があり、また危機的状況の時に凜ちゃんを助けたりもしていたこともあり、凜ちゃんは時雨様に大きな恩義を感じています。

時雨様は、他のキャラのルートで怖い一面を見せていたので、なんとなくプレイ前から怯えていました…。
穏やかな笑顔を浮かべていることが多いのですが、いつ裏の顔が覗くのかとビクビクしていました。

楼主とお職の花魁という2人の関係性もあってか、なかなか恋愛っぽい雰囲気にならなくて、前半は緩やかな展開でした。
時雨様はちょこちょこプレゼントをしてくれたり、甘やかしてくれるのですが、それがお職の花魁だからなのか、彼にとって凜ちゃんが特別な存在だからなのか分からなくて、凜ちゃんにとってはモヤモヤした状況が続きます。
でも、お互いに想いを告げてからは展開が早かったです。
…というのがハピエンの方なのですが。

「ハピエンは思ったよりもあっさりしていたなぁ」なんて思っていたら…!

時雨様はバドエンでこそ輝くお方でした!!

時雨様と凜ちゃんが本当の意味で幸せになれるのはどんな道なのかと考えた時に、ハピエンは必ずしもハピエンじゃないのかもしれません。

時雨様は闇(病み)が深すぎて、正直言って私なら回れ右をしてしまうようなキャラでした…。
彼が過去にしたことを知って、それでも寄り添うことを決めた凜ちゃんには尊敬の念すら覚えました。

辰吉  CV:興津 和幸さん

Switch版を購入したのは、この辰吉を攻略するためです!
なのに、キャラ画像が用意されていなくて悲しすぎる…。

仕方ないので、商品画像をお借りしますね。
画像の右側の胸元がはだけた男性が辰吉です。

辰吉は、凜ちゃんの働く遊郭「桜華屋」の見世番で、遊女達の身の回りの世話をするほか、花魁道中の長柄傘持ちも務めます。
凜ちゃんより1つ年上の寡黙な青年です。

辰吉は人の心の機微を察し、凜ちゃんが辛い時に静かに寄り添ってくれるので、こんな人がそばにいたら好きになると思う!
お職の花魁と見世番という店の人間同士の恋愛ということで、もちろん御法度なのですが、それ以外にも許されない関係であると思わせられる理由があります。

このルートでは、ある人の存在が大きくて、2人にとってその人の存在を無視できないんです。
惹かれあっていても、それによってブレーキがかかってしまう。

このルートでは、男の嫉妬が描かれているのですが、それほどまでに凜ちゃんに強く執着しているということで素敵だと思いつつも、ゾクッとするような怖さを感じる場面もありました。
でも、その人がこれまで歩んできた道のりを考えると、そういう言動をとってしまうのにも納得できるんですけどね…。

辰吉の素敵なところは、普段は凜ちゃんに敬語を使っているのに、ここぞという時は口調が変わるところ!!
雄っぽさが増して魅力的なんです♡

最初のうちは口数が少なくて、ちょっとぶっきらぼうな印象なのですが、後半では胸のうちを真っすぐ言葉にしてくれるようになってキュンときます♡
言葉を飾らないからこそ、辰吉の発言は凜ちゃんの心に真っ直ぐに響くんだと思います。

ハピエンは、幸せだけど辛くて泣いてしまう感じ。
ここまでできる人はなかなかいないんじゃないかと思うほどの辰吉の献身的な愛に心を鷲掴みにされました。

一点の曇りもないような幸せな結末とは言えないかもしれませんが、「こんな風に愛されたら幸せだなぁ」と感じるストーリーでした。

『吉原彼岸花』がプレイできるハードは?

PC版(大人向け)以外に、PS Vita版とSwitch版が販売されています。

PC版ではサブキャラクターだった辰吉(CV:興津 和幸さん)が、PS Vita版とSwitch版では攻略できます!

PS Vita版での追加要素は?

下記の要素が追加されています。

PS Vita版の追加要素
  • オリジナルエピソード&描き下ろしビジュアルを多数追加

  • 辰吉ルートを追加
    PC版ではサブキャラクターだった辰吉(CV:興津和幸)が、PS Vita版では攻略対象に。
  • タッチスクリーン対応
  • PS Vita TV対応
  • PC版の色味に近づける「色合い調整機能」付き

    (引用・参考:公式サイト

Switch版での追加要素は?

PS Vita版に下記の要素が追加されています。

Switch版の追加要素
  • 描き下ろしのイベントスチルを追加
    6人の攻略対象キャラクターに各1シーンずつ描き下ろし。
    PS Vita版ではカットすることになってしまった3シーンのイベントスチルが復活。
  • PS Vita版の特典ドラマCDをビジュアルノベル化して収録
    PS Vita版の初回生産分特典CDに収録されていた録り下ろしのボイスドラマ「異聞・桜華屋学園~いつかの未来で~」をビジュアルノベル化して収録。
  • タッチスクリーン操作フル対応。片手操作も可能

    (引用・参考:公式サイト

本日は、吉原彼岸花の感想にお付き合いくださいまして、ありがとうございました!

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