転勤族の妻(以下、転妻)になって13年目となる管理人のちはやです。
本日は、転妻の仕事についての記事を書かせていただきます。
転妻になってから、いくつかの職種を経験してきましたが、現在、私は医学系研究室で実験の補助をする仕事に就いています。
この記事では、エセ理系のへなちょこ技術補佐員である私が、「転妻の仕事として、技術補佐員(実験補助員)はどうなのか?」といった点に焦点を当てております。
もっと専門的な実験職の内容について知りたい場合には、ベテラン実験職さんのサイトをご覧になってくださいね!
技術補佐員の採用にも短い期間ながら携わっておりましたので、その経験も踏まえて書かせていただきますが、私は専門家ではありませんので、その点はご承知おきください。
- 実験経験なしの主婦が技術補佐員に就くまでの経緯
- 転勤族の妻の仕事としての技術補佐員
- 技術補佐員のメリット・デメリット
- 技術補佐員として働き始める前に、確認しておくべきポイント
仕事に直結する資格を持っていなかった主婦の私
転妻になって、いざ仕事を始めようとした時、「自分の持っている資格で使えるものがないかな?」と思いますよね。
私の場合、仕事に直結する資格が一つもなかったんです…。
学生時代に資格はいくつか取得していたのですが、自分の興味に基づいて選んでいて、その資格がどれだけ就職に使えるかまでは考えていませんでした。
あの頃に戻れるなら、自分にお説教してやりたいです。
そんなわけで、最初は焦りました。
「何か資格をとらなければ!」と。
私は思いついたら後先考えずにすぐ行動してしまう方なので、お金をかけて資格をとりました。
資格の勉強をするのは楽しかったですし、その資格は将来役に立つ可能性があるので後悔はしていません。
ですが、資格とは別に、自分では見落としていた経歴があることに気づいたんです。
リケジョであることが活かせる?
自分がどんな分野の仕事をしたいかと改めて考えた時、私は研究・教育分野で働きたいと思いました。
そして、研究機関での仕事を視野に入れることに。
私は理系学部の大学院出身で、これまで自然環境分野でフィールドワークに携わってきました。
そちらの分野の仕事に就くのが第一希望だったのですが、住んでいるところから通える範囲には求人情報が見つかりませんでした。
ですが、研究分野は異なるものの、実験室内で実験する仕事なら求人が多くあったんです。
実験室内での実験の経験は皆無。
でも、求人内容を見てみると、「理系学部出身であれば、経験がなくてもOK」と書いてあるところもある。
生物に偏った知識しかないエセ理系ではあるものの、私もいちおう理系なので、とりあえず応募してみようという気持ちになりました。
技術員、技術補佐員、技官、実験補佐員、実験補助員、テクニカルスタッフ…様々な呼び方がある
実験室内で実験の補助をする仕事。
この職種は様々な名称で呼ばれているようです。
「技術員、技術補佐員、技官、実験補佐員、実験補助員、テクニカルスタッフ」などと呼ばれる場合が多いようです。
一般的に【技術補佐員】という名称が最も使われているようですので、この記事では【技術補佐員】と呼ばせていただくことにします。
この仕事の求人情報を検索する際には、「実験 補助」や「技術 補佐」等、用語の組み合わせを変えて検索するとヒットしやすいかと思います。
技術補佐員に応募するために、派遣会社に登録してみた
まずは、技術補佐員の求人を出していた2つの派遣会社に連絡してみました。
派遣会社A
以前から登録しており、派遣社員として働いたこともある派遣会社A。
気になった求人があったので、電話で問い合わせてみたところ、経験者でないと応募できないとのこと。
未経験でも応募できる技術補佐員の求人がないか尋ねたら、「ないですね(ばっさり即答)。」
他の求人を探していただける気配すらない、取り付く島もないご対応でした。
派遣会社B
実験職を専門に取り扱う派遣会社Bには、この時に初めて登録しました。
登録の際には、派遣会社の事務所にて、実験についての知識を問うテスト(計算問題など)、研修、どのような実験をしたことがあるのかを回答するアンケート、担当者による聞き取り調査が実施されました。
実験経験を回答するアンケートでは、自分で行ったことのある実験のほか、使用したことのある機器にも丸をつける欄がありました。
実験室内での実験を想定した内容でしたので、私はほとんど丸をつけることができませんでした。
大学時代の経験も含めて記入して良いとのことでしたので、大学生の頃に研究室やゼミに所属して実験室で何らかの実験していた方は、このアンケートの複数の項目で丸がつけられると思われます。
一緒に研修を受けた方々のお話を聞いていると実験経験の豊富な方ばかりで、「派遣会社に求められているのはこういう方なんだな」と感じました。
ご担当の方は、私のような素人が登録に来てしまい、内心困っていたと思いますが、最後まで優しくご対応いただきました。
派遣会社Bが出していた技術補佐員の求人に応募してみた
派遣会社Bの求人で気になったものがあったため、ご担当の方に応募できるか尋ねてみました。
先方に確認してくださるとのことでしたが、「採用担当の先生がしばらく出張に出られていて連絡がとれない」とのお答えが。
それ以降、話が進まないまま終わってしまいました。
今考えると、私が紹介できない人材だったため、オブラートに包んで断られたのかも…。
直接雇用の技術補佐員の求人に応募してみた
派遣会社にお願いすることは諦めて、直接雇用の求人に応募してみました。
最初に応募した職場で、すぐに採用が決まりました。
自分の感触としては、「あ、これ落ちたな」と思って、次の求人を探していたので、採用のご連絡をいただいて驚きました。
私の場合、学生時代に実験の経験がほとんどなく、さらに実務経験もなかったため、特に派遣会社さんにはあまり歓迎されませんでした。
学生時代に実験経験がある方なら、もう少しスムーズに採用まで漕ぎつけるのではないかと思われます。
技術補佐員のメリット
現在、技術補佐員として働いている私が感じる、この仕事のメリットについて挙げてみたいと思います。
スキルアップできて、次の仕事に繋げられる
技術補佐員として働くなかで、実験の技術や機器の操作方法を身につけることによって、夫の転勤により職場を変えなければならない場合でも、次の技術補佐員としての仕事を見つけやすくなると思われます。
上で書きましたが、私が登録していた派遣会社では、やったことのある実験、操作したことのある実験機器を申告する機会がありました。
私は登録時にはほとんど申告する内容がありませんでしたが、今だったら色々と申告できるので、私への派遣会社の評価も当時より上がっているはずです(笑)
時給が高い場合もある
これは一概には言えませんが、私が勤務している機関の場合、一般職より実験職の方が数百円程度、時給が高く設定されている研究室もあります。
ネットで求人を見ていると、当然のことながら、高い技術が求められる仕事内容の場合には、より高い時給となっていますね。
高いレベルの技術を身につければ、非正規雇用でもある程度の収入が見込めると思われます。
需要はあるのに、応募者が少ない
これも一概には言えませんが、採用業務に携わっていた時の経験などを踏まえて書かせていただきます。
事務職の求人を出すと、多くの方が応募してきてくださいました。
それに比べて、技術補佐員は応募者が非常に少ないです。
求人広告を出しても採用者が決まらず、技術補佐員の人手不足の状況が続いている職場が身近にあります。
求人は結構あるのに希望者が少ない。
なので、経験が少なくてもやる気があれば、採用していただける可能性は十分あると思います。
英語を使う機会が多い
研究機関には、海外からの留学生や、外国出身の教員の方がいらっしゃる場合も多いと思います。
積極的にコミュニケーションをとることによって、英会話が上達するというメリットも。
海外の方がいらっしゃらない職場でも、実験のプロトコル(手順書)は英語で書かれている場合が多いので、少なくとも英語の文章を読む能力は身につけられるはずです。
服装が比較的自由
職場によって違いはあるかと思いますが、基本的に事故防止のために白衣を身につけるため、その下に着るものは自由かと思います。
技術補佐員のデメリット
次に、技術補佐員のデメリットとして考えられることを挙げてみたいと思います。
危険物を取り扱う可能性がある
これは分野によって異なると思いますが、医学系研究機関で働く私は、血液、ウイルス、菌、針や刃物、液体窒素、有害化学物質などを日常的に取り扱っています。
高価な試薬や機器を扱うため、緊張感がある
今の職場で働き始めて、あまりに試薬が高価なので驚きました。
その試薬を希釈したり分注したりするので、扱うのがちょっと怖いです。
また、1回の実験で50万、100万とかかるもの、1つしかサンプルが存在しないものもあり、絶対に失敗できない緊張感の中で実験する場合も。
計算しなければならない場面が多い
これは、私にとってのデメリットというだけです。
私は計算が好きではないし、むしろ苦手…。
おそらくこの記事を読んでくださっている本物の理系の方は、計算は苦にならないですよね。
業務上、試薬やサンプルの調製のために、計算しなければならない機会が多いです。
私は自分の計算で正しいのか少しでも不安がある場合には、詳しい方に必ず確認するようにしています。
在宅勤務の可能性はかなり低い
実験データを解析する技術職もありますが、基本的に技術補佐員には在宅勤務はないと思われます。
実験室に行って、その場で実験する仕事がメインです。
衣服が汚れる場合もある
私は白衣を着て仕事をしていますが、白衣から出ている足の部分などは結構汚れます。
特に実験補助の仕事だと力仕事もありますので、動きやすく汚れても良い服装が良いと思います。
白衣を着ていても、白衣に付着した液体がその下の服にまでしみ込んでくる場合もあります。
ちなみに、私が服を汚す原因№1は漂白剤。
実験室では漂白剤を使う機会が多いのですが、どこかに付着していた漂白剤が知らないうちに白衣についてしまって…。
技術補佐員のメリットのところで、服装が比較的自由と書きましたが、もし汚したくない服を着てきた場合には、仕事中は別の服に着替えるのがおすすめです。
技術補佐員として働き始める前に、確認しておくべきポイント
技術補佐員は、職場によってどのような業務を担当するのかが全く違うため、事前に業務内容をしっかり確認された方が良いと思います。
私は2つの研究室でしか働いたことがないため、その少ない経験からですが、事前に確認すべきと思うポイントは以下の2つです。
実験と実験のサポート、どちらの業務の割合が多いか
実験の計画は、上司である研究者の方が立てられることがほとんどかと思います。
その後、研究者の方から技術補佐員に指示される業務内容は、研究室や研究者によって違いがあるかと。
実験を最初から最後まで依頼される場合(実験中心)。
実験に必要な試薬やバッファーの調製のみ依頼されたり、人手が必要な部分だけ手伝いを依頼される場合(サポート中心)。
実験をまるごと依頼される場合には、プロトコル(手順書)を読んで、準備から実験終了までお一人で担当されることになるかと思います。
これは技術や経験が必要となるため、いくらやりたくても初心者が最初からやらせてもらえる可能性は低いです。
ただ、将来的には一人で実験できるよう育ててくださる職場もありますので、ご自身で実験をやりたい気持ちが強い場合には面接等で尋ねてみると良いと思います。
実験を覚えることによりスキルアップにつながり、次の職場を探す際にも有利になると思われます。
実験のサポートは、試薬の調製、実験で使用する消耗品等の発注、機器のメンテナンス、実験室の維持管理など。
初めて技術補佐員に就いた場合には、まずはこのような実験のサポートの仕事から担当することが多いかと思います。
基礎を学べる良い機会です。
実験のサポートが主な業務内容となっている求人も見かけますので、ここで身につけたことも次の仕事へとつながると思います。
私は、所属していた2つの研究室で、実験と実験のサポートの両方の業務も行っていましたが、職場環境や自分の立場によってその割合が違いました。
(他にベテラン実験職の方がいらっしゃる職場では、そちらに実験の仕事が回りがちでした…。)
ちなみに、私の同僚で「もっと実験がしたいのに、雑用ばかりで耐えられない」と退職されていった方もいらっしゃいます。
ですので、このようなミスマッチが起こらないようにするために、就業する際には具体的な業務内容を確認しておくと良いと思います。
実験内容が自分の心に反するものでないか
技術的な意味ではなく、自分にはできない実験というのもあります。
私はある種の実験だけは絶対にできないため、面接の時に業務内容に含まれていないかを念入りに確認しました。
また、生理的に苦手と感じる分野の実験もあるかもしれません。
たとえば、私は現在、血液や組織を扱う実験も行っていますが、そのようなサンプルを扱うことに抵抗のある方もいらっしゃるかも。
実験といっても分野は様々ですので、ご自分に合った分野の実験補助員の求人情報を探してみると良いと思います。
まとめ
- 実験の経験がなくても、理系学部出身であれば応募可能な技術補佐員の求人もある。
- 技術補佐員としてスキルアップできれば、転勤先で新たな仕事を見つけられる可能性が高くなる。
- 応募の際には、ミスマッチが起こらないよう、業務内容をよく確認する。
本日は、転勤族の妻である私の仕事について書かせていただきました。
少し特殊な内容でしたが、もしどなたかのお役に立てればとても幸いです。
長文にもかかわらず、最後までお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
お気軽にコメントください!