本日は、乙女ゲーム『マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝(マツリカのけい てんめいいんいでん)』のネタバレ無しの感想・レビューを書かせていただきます。
※結婚観について、一部デリケートな表現が含まれますので、閲覧ご注意ください。
ネタバレしないよう配慮しておりますが、感想を書くにあたり最低限の情報は載せています。
そのため、すべての方に「ネタバレ無し」と感じていただける内容ではないかもしれません。
その点をご理解いただいた上でお読みいただけますと幸いです。
おすすめポイント
マツリカのあらすじ
舞台となるのは、人と仙と聖獣とが息づく世界――
栄華を極める月下ノ国の辺境には、二つの民族が息づいていた。
人の踏み入れぬ雪山で生き抜く白狼族。
――そして、茉莉花の咲く秘境に暮らすマツリカ族。「けして連れ出してはならない花の咲く、炎に嫌われた秘境、か」
マツリカ族の少女は、今日も蛍に歌を捧げる。
瞳に“炯眼”を宿した彼女こそ、
一族の命を繋ぐ“火”をもたらす者――宝玉鑑定士。景星節で彼女が成人を迎える時、全ての因果は巡りだす。
傷つきながらも生き続ける人がいた。
誇りと尊厳を守る為に奪われた命があった。
彼らの意志を裏切って繋がれた使命があった。「私は、お前を忘れない。この身が朽ちて果てようとも」
禍福の風が吹き荒れて、古の調べが重なり合う。
けして手折ってはならぬ秘境の花。彼女を連れ去ったのは、誰か。血胤を受け継いだ者たちの、異なる使命が動き出す。
これは、正史に名を残さぬ者たちの物語――
引用:公式サイト
ネタバレ回避のために見ない方が良いもの
この作品の公式X(旧:Twitter)で、隠しキャラの詳細がイラストとともに公開されています。
また、あるルートのネタバレ(キャラのイラスト)も掲載されています。
ですので、それらの情報を知らないままプレイされたい方は、公式Xはご覧にならない方が良いかと思います。
逆に、これらの情報を見てから購入を決めたい方は、公式Xを確認してみてくださいね!
全体感想
魅力的な世界観の中華風ファンタジー
聖獣や仙虹といった不思議な存在が息づく中華風の世界が舞台。
日常を忘れられるファンタジーの世界観にうっとりしました♡
山奥の閉ざされた村で穏やかに暮らしていた主人公のナーヤちゃん。
ある日、そんな日常が失われ、とても厳しい状況に身を置くことになります。
これまで村の中しか知らなかったナーヤちゃんが、様々な出会いや経験をし、攻略キャラと恋をするというストーリー。
最初は小さな村が舞台ですが、次第に時代を越えた壮大な物語になっていきます。
ナーヤちゃんは炯眼(けいがん)という特殊な目を持っています。
その炯眼にまつわる真実が少しずつ明らかになっていって、すべての事柄が繋がった時、この作品の魅力が何倍にも増しました♪
主人公に優しくない世界
乙女ゲームでは、どちらかというと主人公に優しい世界が多いような気がするのですが、マツリカはモブキャラから攻略キャラ(一部のエンド)に至るまで、わりと主人公に酷いことをしてきます。
特に、主人公が住むマツリカ村の住人!
もともと排他的な村で、「村人は村から出てはならない。村人以外と婚姻を結んではならない。」という掟があります。
ナーヤちゃんも、これまではこの掟を守って生きてきたのですが、ある日彼女を取り巻く環境が変わって。
その時からのマツリカ村の住人の豹変ぶりがすごかったです。
この作品をプレイしているうちに、この住人たちにも慣れてきました。
早い段階から、彼らを全く信用できなくなったので、今度は何をしてくるのか期待しつつプレイしていました笑
「この作品、かなり攻めてるな…」と感じた印象的なバッドエンド
バッドエンドでは、ナーヤちゃんががっつり不幸になっていた印象です。
もちろん、涙が出てしまうような悲しいバッドエンドもありました。
でも、やはり印象に残っているのは、残酷だったりするショッキングなエンド。
万人受けすることは最初から狙っていない潔さが感じられます!
こういう方向性の作品、好きです♡
刺さる方にはすごく刺さるだろうなと思いました。
たとえバッドエンドでも、攻略キャラのことを好きでいさせて…
一部の攻略キャラについて、「こんな人、嫌だよ…一緒にいたくないよ…」と思わされる瞬間がありました。
ハッピーエンドではあんなに素敵な人なのに、同じ人がこんなことをしてしまうのか…。
私は基本的にハッピーエンドを最後に残しておくのですが、後に見たハッピーエンドの幸せな記憶でも上書きできないくらいの衝撃的なバッドエンドもありました。
個人的には、どのエンドでも、攻略キャラには同じ人格でいてほしいのですが。
でも、追いつめられたら、誰だって心の弱い部分が出てきてしまいますよね、人間だもの…。
不妊治療中にプレイしていたら、ちょっとしんどかったかも
この作品は、タイトルに「たね、子孫」を意味する『胤』という文字が入っていることからも分かるように、子孫を残すことが重要な意味を持つように感じました。
一部のルートにおいて、攻略キャラから直接的または間接的に「子どもを産んで欲しい」という気持ちを伝えられたり、周囲の人間から「早く子どもを…」というような発言があったり。
作中では、婚姻と出産がセットとなっているような結婚観が描かれていました。
ナーヤちゃん自身は、「婚姻を結んだら、子どもを産むのが義務」というような考え方を持っています。
なので、ナーヤちゃんはこの状況にそこまで辛そうにしていなかったので救われましたが。
ただ、見ている方としては、「ナーヤちゃんが子どもを産めなかったら、どうなるんだろう?」とちょっと心配になってしまいました。
いや! 攻略キャラたちはたとえ子どもを授かれなかったとしても、ナーヤちゃんを愛し続けてくれると私は信じていますけれども!
実は、私、不妊治療の経験で心と身体が弱っていた時期がありまして。
(でも、その甲斐もなく…。)
そういう時期って、このような話題に敏感になっていたりしますよね。
本音を隠さずに言うと、「治療中にマツリカをプレイしていたら、心にチクッとくる瞬間があったかもしれないなぁ」と思いました。
ちなみに、フォロワーさんたちのつぶやきを拝見した限りでは、この点を気にされていた方はいらっしゃいませんでした。
なので、私のような特殊な事情がない場合には、それほど気にされなくても大丈夫かと思います!
子どもを求められることに抵抗がある方は、少しだけ注意が必要な作品かもしれません。
ある攻略キャラのエンドは、もう少し先まで見たかった
ある攻略キャラのルートの終わり方について、個人的にはもう少し先まで描いて欲しかったなぁ。
エンディング曲が流れて、てっきり、その後に2人の様子が見られるのかと勝手に期待していたんです。
それがなかったので、「え、あれで終わりだったのか…?」となってしまいました。
後日談みたいなものがあるのかと思って、ゲーム内を探したのですが無くて。
ストーリー的には、完結していると言えるのかもしれません。
ただ、ゲーム本編だけでしっかり幸せな気持ちになって終わりたい私としては、「もう少し先のストーリーまで見せて!」という気持ちになってしまいました。
これは単に好みの問題ですね。
でも、この後2人がどうなったかを想像したり、物語の余韻に浸れるという点では、いい終わり方だったのではないかと思います。
マツリカの糖度は?
「糖度が高い」という基準は何なのか、というのは人それぞれだと思います。
もし、「男女の身体の結びつき」=「糖度が高い」と思われる方でしたら、この作品は糖度が高いと言えるのかもしれません。
そういうシーンについては、コンシューマー版として制限のある中で、プレイヤーがそのシチュエーションを思い描けるように言葉巧みに表現してくださっていました♡
ちなみに、私は「主人公と男性キャラの恋愛過程が丁寧に描かれていて、お互いに愛し合う気持ちが高まったところでいちゃいちゃする」=「糖度が高い」と感じるかなぁ。
大人っぽいいちゃいちゃシーンは大好きですが、愛が感じられれば、キス止まりでも満足できます。
この作品には、もちろん好きないちゃいちゃシーンもありましたが、私にはあまり刺さらなかったシーンもわりとあったかも…。
「ナーヤちゃんは、まだ攻略キャラのことをそこまで好きになれていないじゃないかなぁ」という時期・シチュエーションでの大人ないちゃいちゃも含まれていたり。
あとは、特別な事情があって、そういうことをする流れになったりして。
これについても、単に好みの問題だと思います!
攻略順について
私は、
ルヲ→ゼベネラ→青凛→燕來→隠しキャラ→フェイ
の順でプレイしました。
公式情報によると、攻略制限に沿ってプレイすれば、どのキャラからでも楽しめるとのことでしたし、この順番でも悪くはなかったと思います。
ただ、少しずつ真相に近づいていく順に攻略するなら、下記の順番の方が良かったかもしれません。
ルヲ→ゼベネラ→青凛→隠しキャラ→燕來→フェイ
主人公・ナーヤ
マツリカ村で暮らす少女。
生まれつき、原石から価値ある宝玉を見分ける“炯眼”を持っていて、宝玉鑑定士を任せられている(引用:公式サイト)。
両親がいないナーヤちゃんは、幼い頃にマツリカ村の族長家に引き取られ、族長の息子フェイとは共に育ってきました。
ずっと村から出ることなく生きてきたため、村の外の常識には疎いものの、ちょっとした狩りができたり、薬草の知識があったりと、生活力があり働き者。
また、自分が辛い状況に身を置いていても、他人のことを思いやれる優しい女の子です。
ナーヤちゃんは、村での慣習として、親が決めた相手と婚姻を結ぶのも当たり前だと思い生きてきました。
なので、好きでもない相手と婚姻を結ぶことになっても、それを受け入れる心の準備ができています。
そのような状況になったとしても、夫となる人を大事にしようと前向きにとらえられる子でした。
ナーヤちゃんは、最初はマツリカ村の民族衣裳を着ているのですが、ルートによって、服装や髪型が変わるので、その可愛い姿で目を楽しませてくれました!
キャラ別感想
ルヲ CV:山下 誠一郎さん
マツリカ村への出入りを唯一許されている『公許火商』である貿易商人のルヲ。
商人ということで話し上手で人当たりが良いのですが、どこか本心が見えないところもあるキャラです。
ある事情から、マツリカ村を出て暮らさなければならなくなったナーヤちゃん。
彼女を助けてくれたのがルヲでした。
これまで平和な閉じた世界で暮らしてきたことに加え、以前からの知り合いということもあり、ナーヤちゃんはルヲのことを信じきっていました。
そんなナーヤちゃんにショッキングな出来事が…。
ルヲルートでは、途中でナーヤちゃんからの好感度が下がるような出来事があります。
でも、これがきっかけで、ナーヤちゃんはルヲの本心に触れられるようになっていきます。
仲を深めていく2人ですが、いつの間にか、ある策略に絡めとられていって。
個人的には恋愛のドキドキよりも、どうやって2人無事に生き残るかという方にドキドキしてしまいました!
途中、「えっ、バッドエンドの方向へ向かってる?」と思うような展開まであって、さらにハラハラしました。
敵さんがあまりにも手強くて…ルヲを応援する気持ちいっぱいで見守ったルートでした。
バッドエンドが、大人向け作品にありそうな展開で、かなりしんどいです…。
この場面で、ルヲにはこういう言動をとって欲しくなかったなぁ。
ハッピーエンドよりもバッドエンドの方が印象に残りました。
ゼベネラ CV:羽多野 渉さん
雪山で暮らす白狼族の王。
狼たちと意思疎通を図ることができるという設定が個人的に好き!
ゼベネラは、つがいとなる娘を求めてマツリカ村を訪れます。
そのつがいとは、ナーヤちゃんのことでした。
ナーヤちゃんは断れない状況で、ゼベネラに嫁ぐことになります。
気持ちが伴わないまま婚姻を結んだナーヤちゃんですが、ゼベネラへの気持ちがどのように変化していくのか…。
ゼベネラは口数は少ないですが、ナーヤちゃんへの優しさや気遣いが伝わってくる場面が度々見られます。
ナーヤちゃんは、自分が望んだ婚姻ではないけれども、「夫となる人を大切にしよう」、「群れのために何かしたい」という気持ちで、慣れない環境でも頑張っていました。
このルートは、序盤から夫婦ならでは、なシーンがあって。
表現は生々しくはありませんでしたが、そのシチュエーションを想像(妄想)すると、なかなか刺激的♡
白狼族の中で、ナーヤちゃんが周囲から求められる役目があるのですが、自分がナーヤちゃんの立場だったら、かなり辛い…。
というか、プレイしていても辛かったです。
でも、後半は予想外のストーリー展開でした!
これまでゼベネラは王としての責務を果たすことばかり考えていたし、そんな彼に嫁いだナーヤちゃんも役目のプレッシャーがすごかったと思うんですよね。
そんな状況が大きく変わって、ここで初めて2人はお互いがどんな存在であるかを見つめ直すことができたように思います。
この時点から2人が純粋に恋愛できるようになった気がして、より楽しめました!
胡 青凛 CV:立花 慎之介さん
月下ノ国の国王の息子。
ずっと宮廷内で生きてきたため、世間知らずで純粋な性格。
中性的で、おっとりしているキャラでした。
青凛がお忍びで宮廷を抜け出した時に、偶然、ナーヤちゃんが青凛を助ける一幕がありました。
その縁で、青凛は居場所を失ったナーヤちゃんを、友として宮廷内に居住させてくれることになります。
青凛の前に攻略したキャラたちには、子孫関係でちょっと心が重くなるシーンも含まれていたんですよね(そう思ったのは私だけかもしれませんが)。
青凛ルートでも、多少残酷なことがあったり、過激なことをしているサブキャラも登場するものの、青凛自身は終始優しいキャラだったので、全体的には癒されました♪
途中で、あるキャラが予想外の行動をとって急展開を迎えるので、「どうして、こうなった?」とちょっと驚きました。
それについては、他のキャラのルートをプレイすると事情が分かってきます。
ナーヤちゃんと青凛が穏やかに愛を育んでいく様子が描かれていました。
ファンタジー要素たっぷりの、おとぎ話のような美しいストーリーでした♡
隠しキャラ CV:?
ナーヤちゃんが危険な状況に陥っていたところで、彼女を助け出してくれた隠しキャラくん。
そこから2人は一緒に暮らすようになります。
孤独に生きてきた彼は、ナーヤちゃんには仲間意識を持っていて、一緒にいたいという気持ちが強いです。
実は、最初は「このキャラと恋愛できるのかな」とちょっとだけ心配でした。
というのも、前半部分では恋愛っぽい雰囲気がほとんど感じられなかったんですよね…。
でも、後半から彼の魅力が開花した感じ。
彼はとても優しくて、常にナーヤちゃんの気持ちを尊重してくれて。
一生懸命にナーヤちゃんのことを想ってくれるので、可愛くて癒されるキャラでした♡
愛情表現がストレートなので、幸せな気分になれます♪
また、他のルートでは、悪役という印象しかなかったサブキャラの違う一面がここで見られます。
そのキャラの背景が明らかになり、印象がガラリと変わったところも、このルートの魅力でした!
玖 燕來 CV:堀江 瞬さん
月下ノ国の名家《玖一族》の現当主であり、青凛の教育係。
ビジュアル的にとても気になっていた燕來。
「華奢で小柄」というのも、私の好きなポイントです♡
実は、プレイ前は彼を不当にツンツンしたキャラだと思っていたのですが、そんなことは全くなかった!
物言いは厳しいですが、言っていることは正しいし、優しさが感じられます。
このルートでは、居場所のないナーヤちゃんが、燕來のもとで下働きをさせてもらうことになります。
燕來のちょっとした気遣いや言葉のかけ方が大好きでした♡
ナーヤちゃんがピンチの時には庇ってくれたり、かけつけてくれたりして、こんなの惚れてしまう~!
せっかく2人がいい感じになってきたところで、他者の思惑がからんできて…。
燕來には、玖家の当主として果たさねばならない悲願があり、物語の後半部分は、それについて明らかにされていくストーリーとなっています。
後半での玖家にまつわるストーリーは新たな情報満載で面白かったですし、色っぽい展開の多さで言えば、後半部分の方がそうなのですが…。
私としては前半部分の方がときめいたし、見直したいシーンも前半に多かったです。
燕來のバッドエンドは、かなりゾッとしました…。
こんなことをされても、ナーヤちゃんは燕來と一緒にいるしかないのか…。
自分の中で燕來の好感度が高かっただけに、ショックが大きかったです。
ハッピーエンドと、ノーマルエンド(と呼んでいいのか…)はどちらもすごく良かった♡
でも、先にバッドエンドを見てしまったために、その後ハッピーエンドを見ても、「でも、この人、ああいうことをする一面もあるんだよな…」と思ってしまって。
バッドエンドを最後に見た方が良かったのかもしれません。
フェイ CV:岡本 信彦さん
マツリカ村の族長の息子で、ナーヤちゃんとは同じ家で育ってきました。
フェイは、かなり早い段階からナーヤちゃんへの好意がちらちら見えるのですが、特殊な事情から、簡単に想いを伝えることができません。
作品全体を通して、好感度最低のマツリカ村の村人ですが、このルートでさらに彼らの好感度が下がりました。
もはや好感度という表現すら正しくない気がする…。
このルートは、すべての真相が明らかになるストーリーでした。
他のキャラのルートで出てきたあれこれについて、どんどん話が繋がってきて、とても面白かったです♪
しかし、先に謝らせていただきたいのですが、このルートの恋愛に関してはうまく感想を書ける気がしません。
「フェイを攻略するぞー!」という気持ちで臨むと、ちょっと戸惑うルートなのです。
2つの恋が入り交じったストーリーとなっていて。
このルートの中で語られる悲しい恋物語に心惹かれたし、あるキャラがものすごく魅力的で♡
一途な愛の形にときめきました!
一方で、これがフェイルートだと思うと、うまく気持ちの整理ができなくて。
誰と誰の恋愛ストーリーなのか、途中で分からなくなってくるような場面もありました。
頭の固い私が悪いのですが、自分の気持ちを切り替えられないことがすごくもったいなかった…!
ルートを分けていただけていれば…なんて思ってしまったりしました。
Switch版が発売中
【マツリカの炯-kEi- 天命胤異伝】は、現在のところ、Switch版のみが発売されています。
本日は、ちょっとデリケートな話題に触れてしまったので、心配しております…。
マツリカの感想にお付き合いくださいまして、ありがとうございました!
お気軽にコメントください!